官能小説

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ロング丈のスカート。隠された足とは相反するように、上半身は薄布一枚だけと言う奇妙な姿で彼女は現れた。
布から覗く褐色の肢体はすらりと引き締まっており、かといって華奢と言うほどでもない。
薄く閉じた瞼から覗く瞳は、まるで黒曜石のように妖しく輝き、こちらを余裕たっぷりの表情で見つめてくる。
彼女はベッドに腰かけると、右足を折り曲げ、ベッドの縁に踵を乗せる。その足の上に右手をだらりと置いた。崩した姿勢なからも色気が漂う。その姿は水面に揺らめく月の様であった。
悠然とした態度のまま、彼女は一言も言葉を発しない。俺だってそうだ。一言も声が出せない。それは、彼女のあまりの美しさに圧倒されたからで……

「あなた。何読んでるの?またいやらしい本?」
「違うよ。ほら表紙見て。この仏像、知らない?水月観音って言うんだけど…」
「まあ、綺麗ね。それ何の本なの?」
「観音小説」
その他
公開:21/12/02 06:00

らっこ( 太陽系 )

SFとホラーをメインに書いてます。

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