うまれる・・・

「おめでとうございます」

まだ膨らんでいないお腹を優しくさすった。

既に我が家は三人のお化け屋敷が産まれている。しかし贅沢な悩みだが、メリーゴーランドを産みたい。老後は夫と二人で、一人前になったメリーゴーランドの白馬に乗るのが夢だ。

レントゲンには口を大きく開けた馬のような影が映っている。

「先生？！　もしかして馬ですか？」
「これは断末魔の叫びですね。元気なお化け屋敷ですよ」

色々な想いが遊園地のコーヒーカップのように頭の中を回り、帰路の足は重かった。

家に着き、ドアを開けると家の中が真っ暗だった。そして火の玉がゆっくりとこちらに向かって空中を泳いできた。

子供達の仕業か。これだからお化け屋敷は...と、ため息が出た。

「ママ、お誕生日おめでとう！」

三十八個の火の玉がハート型に変わった。

忘れていた。

古井戸から蟲の如く這い出てきた長髪の幽霊を強く抱きしめた。