ビー玉に棲む兎

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まん丸の赤い目が2つ、ビー玉の中から私を見つめている。
祖母が部屋を片付けるのを手伝っていると、古い小箱が押し入れの奥から出てきた。

「まぁ!これ、お婆ちゃんの子供の頃の宝箱よ!」

祖母は箱を撫でるようにして埃を払い、蓋を開けた。中には沢山のビー玉が入っていた。少々歪なものが多いようだ。

「昔は今みたいに綺麗なビー玉ばかりじゃなくて、こんな風に凸凹しているものや、気泡の目立つものも多かったの。不格好だけどそこが可愛らしくてねぇ、お婆ちゃんは大好きだったのよ。」

祖母の話を聞きながら、なんとなくビー玉を1つ手に取ると、何かと目が合った。兎だ…。ビー玉の中に可愛い兎がいる!目を丸くして驚いていると、祖母もビー玉を覗き込んでこう言った。

「昔のビー玉の凸凹って、月のクレーターみたいでしょ?だから、時々うさぎが月と勘違いしてビー玉に棲みつくって聞いた事があるわ。本当だったのねぇ。」
その他
公開:23/09/29 19:18
#中秋の名月 #兎がぴょーん

花笑みの旅人( 気の向くまま )

ページを開いてくださり、ありがとうございました!

※6月12日〜6月末まで、色々と鍛える為に毎日投稿にチャレンジ中で〜す(⁠◔⁠‿⁠◔⁠))
若干カーブミラーに取り憑かれた人みたいになっていますが、概ねその認識で間違いはない

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