布団タクシー

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幼い頃、『タクシーごっこ』という遊びをした。
敷き布団を敷いてその上に座り、布団の三分の一を折り曲げて車のボンネットに見立て、後ろに祖父を乗せて遊ぶのだ。
実在するところ、しないところ、ぼくの運転次第でどこへでも行けた。
タクシー好きだった祖父はぼくに合わせて質問してくれるので大変楽しかった。

やがて実家は建て替えられ、寝具もベッドに変わった。
祖父は他界し、ぼくはサラリーマンになり、アパートで一人暮らしを始めた。
布団での生活に戻り、ふとタクシーごっこを思い出し、やってみることにした。

布団を折り畳み、タクシーを作る。
たくさんの景色が通り過ぎていった。
落ちて大泣きした実家の階段、家族で写真を撮った公園、ツツジの咲く通学路、部活の大会…
大学に付属していた変わったデザインの図書館が見えてきた辺りで、客席から懐かしい声が聴こえてきた。

「運転手さん、あの変わった建物は何だい?」
ファンタジー
公開:18/02/27 11:31
更新:18/02/27 11:32

TAMAUSA825( 東京と神奈川 )

製暇業/浪費家/曲者/素眠りライセンス所持/文字起こし初心者

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薄紅色の風が吹く町
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