肉まんが美味しくなるスイッチ

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 昔、姉とコンビニで買い食いをした時の事。
 肉まんを買った僕に姉が「肉まんには美味しくなるスイッチがあるんだよ」と言った。
「スイッチ?」
「そう。まずは肉まんを両手で包むように持つの。そうそう。それで両手の親指でゆっくり肉まんの真ん中にあるスイッチを押すのよ。そう。そのまま横に引っ張ってごらん」
姉に言われたようにすると、肉まんがぱっくり二つに割れた。
「肉まんは二人で食べた方が美味しいのよ。ほら、これあげるから」
姉はそう言ってすでに三分の一になっているフランクフルトを僕に差し出した。

 そんな姉が旦那さんと一緒に実家に帰ってきた。
 僕は母さんが出した肉まんを指差しながら「おにいさん、肉まんが美味しくなるスイッチって知ってますか」と言った。
 おにいさんが「え、なんだいそれ」と聞くので教えてあげようとすると、姉が「ちょっと!」とあの日の肉まんのように頭から湯気を立てながら怒った。
その他
公開:20/03/30 18:05

小狐裕介

作家としてショートショートや短いお話を書いています!

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光文社文庫「ショートショートの宝箱」に「ふしぎな駄菓子屋」収録。
幻冬舎「未来製作所」に「砂漠の機械工」他収録。

最近はYouTubeも頑張っています!

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