A Day in the Once Life

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目覚ましが鳴る。カーテンを開け陽差しを浴びる。朝食を支度する音。テーブルにつくと焼きたてのトーストに新鮮なサラダと薫り高いコーヒー。新聞を読みながらしばし過ごす。
そろそろ時間だ。歯を磨き髪を整える。艶やかに磨かれた靴を履き、ドアを開ける。
それぞれの場所へと向かう人々の流れに飛び込む。息もできないほどぎゅうぎゅうと電車に押し込まれ移動する。見知らぬひとの顔が無理やり押しつけられる。安い香料の臭い。
会社では声が飛び交う。電話に応対する声。部下を叱責する声。同僚との無駄話。耳がおかしくなる。ひとの顔。声。臭い。だめだ、眩暈がする……。

僕はVRを止めた。なるほどこれが昔の生活か。たしかに今の人間には耐えられないよな。
ゴーグルを外して深呼吸。慣れ親しんだ我が部屋の景色に安堵する。
やっぱり今の生活がいいや。どうして昔のひとは集まって仕事をするのが好きだったんだろうね。意味わかんない。
その他
公開:20/04/13 14:46

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