8.笑えない

8
12

笑えない時代が到来した。

警察は毎日巡回し、笑っている人に罰を与える。

あんなに毎日笑っていた娘や妻がプスりとも笑わない。

職場はいつもシーンとしているがより一層雰囲気が悪い。

昼休み自宅の窓から覗くと木陰に車が止まっているのを発見した。

スモークガラス越しに営業マンは、うすら笑いを浮かべている。

「日陰でさぼり中ですか?何笑ってるの?何が面白いの?もしかしておとり捜査官?」ガラス越しに喋りかける。

「いいえ違います。こんな世の中で何が面白いのかと思い、笑ってました」

「ああそうですか」

私はよく考えると、自分自身、生まれて一度も笑っていないことに気付きプゥと吹いた。

その営業マンは突然手錠を出し、私の手首にかける。

「12時34分、愛想笑いの疑いで拘束する」

ああ、心底笑いたい……
その他
公開:19/01/04 17:00
更新:19/03/16 14:19

ゆっち( 北海道 )

星新一さんを尊敬しています。ショートショートが大好きな気持ちは永遠です。
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容