光の妖精(2)

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(承前)
50年が経った。森で道に迷ったかつての子供は、働きに働いて財を成し、町いちばんの名士になっていた。
ある日、帰宅するため車に乗っていたときのことだ。沈みかけた陽の光が雲間から森に真っ直ぐ射し込んでいるのを見た。その光景で彼はふいに思い出す。自分はかつて、森の中で約束したことを。

「き、きみ。そこを左に曲がってくれないか。今すぐあの森へ向かうんだ」前席の運転手に慌てて告げる。
彼には、ずっと大切にしている本があった。子供の頃は御守りとして肌身離さず、大人になってからは鞄に忍ばせて繰り返し読んでいる。革の表紙はかなり草臥れてきたが、捨てることなど考えられなかった。

それが一度だけ持ち歩かなかった日に限って、森の中で道に迷ってしまった。きっと、本を家に置いてきた罰だ、と少年だった彼は考えた。
しかし、木漏れ陽から現れた妖精が助けてくれた。その妖精と約束を交わしていたのだ。(つづく)
ファンタジー
公開:20/01/26 09:55
更新:20/02/01 01:51
昔話

白ねこのため息( あちらこちらにいます )

2019年9月14日から参加いたしました。
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現在、資格取得(英検1級など)の勉強中のため、投稿ペースが落ちていますが、
これからも引き続きご愛顧のほど、何とぞ宜しくお願いいたします。ペコリ。
 

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