同期テロ-35

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椅子に蹲った入鹿が嘔吐している。血の臭いと相まって、河守の胃も中途までせり上がったが、吐く余力がなかった。
「中間亘輔。貴方は何者ですか」
黒スーツが拳銃を中間に向けた。
「公安警察?それとも調査室?どちらにしても、おたくの任務は、賀茂橋とNIFCの経過監査で、俺自身は対象じゃない、違います?」
「所属員であった以上、貴方も対象と判断します」
「上の命令に違反しても?」
河守は初めて、黒スーツの顔をまともに見た。眉一つ動かさない冷徹の、口端が僅かに下がる。河守より、もしかすれば入鹿より若い青年だった。
注射針を握っていた拳が、ナイフで河守の結束を切った。
「国家と国民の安全が、私の絶対則です」
無反動で射出された捉えられない弾丸は、真っ直ぐ壁を穿った。

「見上げた精神だけど、邪魔は邪魔だ」
とすんと、拳銃がシーツに落ちた。
「一度に消す方が楽でいい」
オセロの様に、中間が河守の横にいた。
SF
公開:19/10/01 23:02

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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