You should have ended ─貪婪骨董屋ー 拾

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地を這いずる音が深夜の街に響く。亡霊の如く彷徨っていた音は、店前で途絶えた。
「来たか」
アベルが扉を開けると、いつかの聾唖の少女が倒れていた。彼女は直視出来ぬ程痩せこけていた。
「大丈夫か」
抱き上げ様とすると、細い腕がそれを振り払う。
「私は良いから!彼を助けて」
傍らには子猿の亡骸が。
「君声が?!」
「彼、私の為に盗みを働いて。でもお店の人に見つかって…最期に食べ物とこの声をくれたの」
アベルの顔が徐々に険しくなる。
「立て!」
乱暴に少女の腕を引っ張り上げた。
「何が私は良いだ!彼が命を懸けて守ったのに!いい加減にしろ!君に残された選択肢はこれだ」
彼はナイフを差し出した。
「己の首を掻っ切るか、彼を捌き肉を食べ命を繋ぐか、だ」
「そんな…」
「彼の死全てを無駄にせず、転生しても彼を探し今度は守り抜くぐらいの強さを持て!」
少女は慟哭し、猿とナイフを抱え、夜の闇へ消えて行った。
ホラー
公開:19/02/11 20:09
第八話に登場 心の声を喋る猿 話す能力を少女へ与えた

川勢 七輝

【貪婪骨董屋 概要】
人類最初の殺人カインとアベル。弟を殺害後、神に彼の行方を尋ねられるが白を切るカイン。しかし大地に残されたアベルの血が兄の罪を神に訴える。
カインは追放され、アベルの血は天界で守られる事となった。
時は流れ、人間達が神の声に耳を傾けず横暴な振る舞いを続ける頃。神の関心は地球から薄れつつあった。そして、アベルの血の守護役であった天使は、彼のお守りに飽きが生じ、妙な空想に取り憑かれていた。
「何故、アベルは兄の嫉妬心に一切気付かなかったのか。また、血だけとなっても神に訴える復讐心、執着心に罪は無いのか。この欲が諸悪の根源なのでは」
神の目を盗み、天使のいたずらが始まる。
 

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