平伏させる魂瓶 ─貪婪骨董屋─ 七

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荒々しく店の扉が開けられ、豊かなカールの白髪に、赤い外套を纏った男達が入ってきた。
「ここか!蠱惑な店とは」
こんな時でも店の男は冷静だ。
「そんな滅相もない」
「噂は耳にしておるぞ!」
役人の一人が声を荒げる。
「噂で私を裁くのです?」
「いや、これら奇っ怪な品々を見れば明白だ」
「見るだけとは勿体無い。是非、この品を試されませんか」
棚から取り出したのは、麒麟の塑像が乗った壺型埴輪。
「これは?」
「魂瓶です。東の大陸の副葬品でして。一代で栄華を極めた王の品です。彼は死しても尚権力を欲している。王の霊に認められた者は、絶対的な権力を授かり、人々を平伏させる力を持つのです」
役人達は顔を見合わせる。
「こ、これは押収しておく」
店の扉が閉まった後、直ぐに彼等の口舌が響いた。

「人を平伏させる物があれば戦争なんて起きない。ま、彼等は戦より悲惨な目に遭うだろうね」
男は店の中で冷笑した。
ホラー
公開:19/02/08 19:23
更新:19/02/11 20:00
魂瓶=こんへい

川勢 七輝

【貪婪骨董屋 概要】
人類最初の殺人カインとアベル。弟を殺害後、神に彼の行方を尋ねられるが白を切るカイン。しかし大地に残されたアベルの血が兄の罪を神に訴える。
カインは追放され、アベルの血は天界で守られる事となった。
時は流れ、人間達が神の声に耳を傾けず横暴な振る舞いを続ける頃。神の関心は地球から薄れつつあった。そして、アベルの血の守護役であった天使は、彼のお守りに飽きが生じ、妙な空想に取り憑かれていた。
「何故、アベルは兄の嫉妬心に一切気付かなかったのか。また、血だけとなっても神に訴える復讐心、執着心に罪は無いのか。この欲が諸悪の根源なのでは」
神の目を盗み、天使のいたずらが始まる。
 

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