刺激ある未来

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「どうしてくれんの?明日から出張なんでそれに間に合わせて貰わないと困るんだけど」
強面の男はレジの前に鎮座する。
その後ろには他の客の長蛇の列。
「そう申されましても、商品の入荷迄は1週間は掛かります。その旨お伝えした筈ですが......」
「筈じゃダメなんだよ!結果的にこっちには伝わってねぇんだから!」
徐々にヒートアップする男の声。
それに反比例して萎縮する僕。
「誠意を見せろや!」
怒鳴り声をあげる男の顔をまともに見れず、僕は俯いた。

「怖かったぁ!」
僕は目を覚ますと、急いでクレームと書かれたカードを枕から引き抜く。
精神制御法が可決されて以降、怒りや恐怖という感情は過去のものとなった。平和で平坦な毎日。故に皆、夢にその刺激を求めるようになった。
明日は心霊だな。
僕は胸を撫で下ろしつつも、不吉なワードが並ぶ夢カードを見て、不敵に微笑んだ。
ミステリー・推理
公開:24/04/26 18:02
更新:24/04/26 22:55

Kaji

作家を目指すしがない中年サラリーマンです。ショートショートはとても苦手なので敢えてこちらで挑戦しようと登録しました!
よろしくお願いします

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