No.64  父子詠み物語

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「父さんの時代はな・・」又始まった。我家の居間での会話。娘はまたかと呟きながら話を右から左へ聞き流す。

「父さんの子どもの頃はな、冬は毎日ー20度代で鼻水や瞼が凍ってはりついて取れなくなったもんだ」

娘は菓子をポリポリかじり出す。

「父さんが小学6年の時だったな。1500mのスケート大会があってな、リンクを5周回るんだけど、50回も転んじゃってな・・」永遠とくだらない話が続く。

「何で50回も転んだと思う」

娘は菓子をかじるのを止めその菓子袋を左から右へと寄せ父に近づく。

「お父さん、なんでそんなに転んだの、痛くなかったの?」
「そりゃ痛いし寒いし悔しくて泣いたさ。でも最後まで転んでは立ちを繰り返し滑りきったさ。そしたら_」

娘はあの当時の観客と同じようにスタンディングオベーションの拍手で父を讃えた。

無神経な父の話は続く「前の晩爺さんがスケートの刃研ぐの忘れちゃってさ・・
その他
公開:19/01/26 19:07
父から子へそして 子から孫へ 永遠に 語り継がれる物語

ゆっち( 北海道 )

星新一さんを尊敬しています。ショートショートが大好きな気持ちは永遠です。
 

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