名画でショート010『接吻』(グスタフ・クリムト)

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黄色い服を着た男は、黄色い服を着た女を限りなく愛していた。
男の服の模様は、長方形をあしらっている。女の服の模様は、円をあしらっている。
男は女の頬に接吻をした。左手で女のこめかみをおさえ、右手は女の顎を支える。女は恍惚の表情を浮かべながら、その左手は男の右手に添えられ、まるで夢み心地のような艶めかしい肢体を男に預ける。
二人の体は溶けあおうとしている。
まるでバターのように。
まるでパイ生地のように。
まるで重なり合う炎のように。
いつしか二人はひとつになり、あまいお菓子を作り上げるであろう。愛という名の、全身がとろけるような甘いお菓子を。
ファンタジー
公開:24/04/26 22:16

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