六月十四日の喫茶店

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今日もいつもの喫茶店へ。
古き良き時代から続くこの店の自慢の一品は、ハーブティーだけど…

「き、着物?」
いらっしゃいませ、とにこやかに微笑む和服姿のマスター。

「今日は川端康成の誕生日だから、彼の作品の『千羽鶴』に因んでこういうことになってます。今日、急に思い立ったんでお菓子の用意もないけど、飲みやすいようにアレンジしてあるから」
出されたのは抹茶だ。
「お作法分からないよ」
「美味しく飲んでいただければ結構」
ほんのり甘く優しくどこか懐かしい味。
「立派なお茶碗だね」
「その作品にも出てくる志野焼の茶碗だよ。これは高い物じゃないけど」

それにしても、この凛とした佇まい、そしてこの色気。
袖から覗く腕がまたいい。
和服って特別だ。
「こういうのいいな。またやってくれる?」
「リクエストがあればいつでも」

カウンターの隅っこで『千羽鶴』を読んでいた美人の常連さんが急いで手を挙げた。
青春
公開:18/06/14 03:25
更新:18/06/14 05:44
いつもの喫茶店 川端康成の誕生日 常連さんはあなたです

桐生士郎( 海外 )

アメリカで会社員をしています。
いつも不思議要素を入れ忘れるので、僕の話はショートショート失格です。
すみません。

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