紫丹積生

千葉県
 冷たい夜、漆黒の空に浮かぶ細い三日月を見上げながら、そっと考えてみる。
 語れば語るほど、伝えたいはずの思いが遠ざかっていくのは、なぜだろうか。
 うわべだけの安直な言葉や表現は、輝き始めた世界を色のない平板な景色に一変させ、萌芽しかけた感動を薄っぺらで陳腐な絵姿に貶めてしまう。
 想いは、伝えるのではなく、感じさせるもの。ありふれたシンプルな言葉で、暗く、苦く、美しい物語を紡いでいきたい。

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