『お気持ち花束』

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「プロポーズ用の花束が欲しいのですが」
「こちらはいかがでしょう?」
出されたのはビニールの持ち手だけ。
「これは『お気持ち花束』 送り手から受け手に渡ると同時にお互いの気持ちを汲み取り、自然と花束が現れるのです」
花屋から持ち手を受け取ると、白いアネモネが現れた。
「花言葉は『期待』 私からサービスです」
すごいぞ、これならサプライズも兼ねることができる。
「お気持ち次第で10本、いや100本の薔薇の花束だってプレゼントできますよ」
値段も手頃、もし100本も出せたとしたらかなりお買い得だ。
俺はお気持ち花束を一つ買って、早速彼女の元へ向かった。

「結婚してください!」
「何これ?」
怪訝な顔の彼女の手元に現れたのは、オレンジの百合。予想外の花が現れて戸惑う俺。受け取った彼女は突然現れた花束に驚くこともなく一言。
「あなた、この花の花言葉が『軽率』だって知ってる?」
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公開:20/07/15 21:33

白川湊太郎( 東京 )

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