原始の声

喉が渇く。
刺すような陽射しと照り返しに挟まれ、灼熱の砂漠を進んでいた。
目的のものは、もう近いはずなのだ。

コッコッコッ。

その時、鳥の鳴き声が聞こえた。なぜか、ごくりと喉が鳴った。

探検家の本能が鳥を追えとささやく。
声を頼りに進むと、砂に埋もれた庭園を見つけた。中央に黄金色の池がある。
駆け出し、顔をつけて飲んだ。乾いた体に染み込むようだ。
これこそ、探し求めていた「始祖ビール」！

何者かの気配を感じて顔を上げると、ニワトリがいた。
その頭はビール瓶のような形をしている。
体を傾け、頭から黄金色の液体を池に注ぎはじめた。
コッコッという声が、あたりに響いた。

無事に帰国した私は、自宅で休息していた。
冷蔵庫からビールを取り出し、グラスに注ぐ。

コッコッコッ。

砂漠の暑さとともに、始祖ビールの声が蘇った。
古代に生まれたこの声は、人を魅了するのだ。