渦を巻くメロンパン

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暴風の中、枯れ葉のように舞うグライダーがあった。
操るのは、あどけなさの残る少年だ。
グライダーはやがて、竜巻の中へ突入した。

着地すると、上空には様々なものが飛び交っていた。
少年は風の向きを見定め、網を投げる。
一瞬で広がった網を引き戻すと、メロンパンが2つ入っていた。
皮がボロボロで割れている。商品にならない。
少年は繰り返し網を投げ、メロンパンを収穫した。

竜巻の中心には巨大なメロンパンがあった。メロンパンを生む、竜巻の「核」だ。
近づくと風が強まり、少年は空中高く巻き上げられてしまった。
不安定な体勢のまま、パンに向けて網を投げる。
網がパンに触れた瞬間、バラバラに砕け、竜巻も消えた。

その日の夕食はメロンパンだ。
皮が割れたり剥がれていて見た目は良くないが、自分でとったものだ。
その味を噛み締めながら、一人前のメロンパンハンターになると決意する少年だった。
ファンタジー
公開:25/10/31 11:33
#研究室ライブ

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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