限り無く赤に近い白

0
1

三日三晩貪り合っていた。
湿った空気を纏ったこの部屋に缶詰になって。

吐息と嬌声の狭間から微かに聞こえる粘性のある水の音を伴って私を刺激する。
欲望と呼ぶにはあまりに本能的で野性的な動物の営み。
灯りはない。今ここには二つの生き物がいる。ただ、それだけ。
それだけで十分だった。

曖昧な記憶を手繰り寄せて、私は我に返った。
隣にはまだ温もりを感じたが、声はない。
あれからどれだけの時間が経ったのか、混濁した意識下では正確に読み取れそうもない。
私にわかるのは、確かな満足感と気の抜けた炭酸のような虚脱感だけだった。

そこら中に散らばった私の欠片を集めて拾い上げる。
「あぁ、またか」
独り言のように溜め息を吐く。
そして隣で横たわる君「だったもの」に声を掛ける。

「ごちそうさま」
ホラー
公開:25/10/13 02:28

久我由宇

くがゆうと読みます。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容