アストロ・ガアル
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それはとおいとおい昔の宇宙のおはなし。
少年は夢を見る。
そこには、誰にも知られずに宇宙を旅する少女がいた。
少女は星と星のすきまを川の流れのように泳ぎ続けていた。
土星の輪っかに触れると、びっくりしたような表情を浮かべたあとに、少し微笑んでいた。
金星をくまなく探したけれど、女神はどこにもいなかったようだ。
あてもなくゆらゆらと漂っていた星のひと粒を手にとって、ぎゅっと握りしめた。
流れた涙は頬をつたって、黒い「世界」に溶けていった。
そして少女はこう呟いた。
「私もいつかは消えてしまって、この世界の星になる日がくるの。それは波のようなものだから」
その瞬間、まばゆい光があふれ出した。
少年は目を覚ます。
やがて少年は大人になった。
あれから一度も少女の夢は見ていない。
しかし、もう一度あの少女に会うために、かつて少年だった彼は今ここに立っている。
この「世界」に立っている。
少年は夢を見る。
そこには、誰にも知られずに宇宙を旅する少女がいた。
少女は星と星のすきまを川の流れのように泳ぎ続けていた。
土星の輪っかに触れると、びっくりしたような表情を浮かべたあとに、少し微笑んでいた。
金星をくまなく探したけれど、女神はどこにもいなかったようだ。
あてもなくゆらゆらと漂っていた星のひと粒を手にとって、ぎゅっと握りしめた。
流れた涙は頬をつたって、黒い「世界」に溶けていった。
そして少女はこう呟いた。
「私もいつかは消えてしまって、この世界の星になる日がくるの。それは波のようなものだから」
その瞬間、まばゆい光があふれ出した。
少年は目を覚ます。
やがて少年は大人になった。
あれから一度も少女の夢は見ていない。
しかし、もう一度あの少女に会うために、かつて少年だった彼は今ここに立っている。
この「世界」に立っている。
SF
公開:25/10/13 02:15
くがゆうと読みます。
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