ジーンズと貝殻

0
1

調べないと気が済まなかった。今日とまではいかないが、明日にでも。
明日は浜へ行こう。炎天下の浜へ、水兵みたいに。

女子大生数人のグループや子供連れの家族から一斉に視線を浴びる。
この出立ちのせいだ。しかし、私は一向に気にならなかった。
気付けば彼女達はもう元の場所に戻っていた。

一目散に波打ち際へ向かう。
腰の高さまで海に身を浸しながら、何度も、何度も何度も距離を測る。

遠かった。想像を絶するほど遠かった。

幽霊のように浜辺に戻ると、目眩を覚えて座り込む。
閃輝暗点の予兆の先に、白い貝殻が目に飛び込んだ。

気付かなかった。こんなに近くにあったとは。
自然と笑みが溢れる。遂には大笑いしてしまう。

ひとしきり笑い終わった後、仰向けになって目を閉じる。

砂浜の青は灼けた赤に照らされて、きらりと光った。
青春
公開:25/10/13 02:07

久我由宇

くがゆうと読みます。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容