Honey Beer
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雑誌記者である私は森の中で醸造される不思議なビールがあると聞いて取材を続け、ついにその醸造所を訪れた。
森の中に建つロッジには醸造施設はなく、養蜂家の老人が独りで暮らしていた。
その老人は語る。
「私の育てる蜂達は少し特殊でね。花の蜜を集めると、それを自らの唾液と混ぜてビールに変えて巣に溜め込む。私は彼らの作り出すビールをHoney Beerと呼んでおります」
老人は私を蜂の巣箱まで連れて行き、遠心分離機にかけてトロリとした琥珀色の液体をグラスに注いで渡してくれた。木漏れ日を浴びて泡が金色に輝いていた。
「一匹の蜂が一生で集められるビールは小さじ半分にも満たない。我々はそれをこうやって搾取しとる罪深い存在です」
まさに働き蜂達の命をかけた雫の集積。
私は蜂達に感謝を捧げつつ大切にビールを味わった。
その花の香りがする甘くほろ苦い液体を一口飲む度に喉が蜂達の羽音のようにブーンと震えて鳴いた。
森の中に建つロッジには醸造施設はなく、養蜂家の老人が独りで暮らしていた。
その老人は語る。
「私の育てる蜂達は少し特殊でね。花の蜜を集めると、それを自らの唾液と混ぜてビールに変えて巣に溜め込む。私は彼らの作り出すビールをHoney Beerと呼んでおります」
老人は私を蜂の巣箱まで連れて行き、遠心分離機にかけてトロリとした琥珀色の液体をグラスに注いで渡してくれた。木漏れ日を浴びて泡が金色に輝いていた。
「一匹の蜂が一生で集められるビールは小さじ半分にも満たない。我々はそれをこうやって搾取しとる罪深い存在です」
まさに働き蜂達の命をかけた雫の集積。
私は蜂達に感謝を捧げつつ大切にビールを味わった。
その花の香りがする甘くほろ苦い液体を一口飲む度に喉が蜂達の羽音のようにブーンと震えて鳴いた。
その他
公開:25/11/09 23:58
更新:25/10/12 09:53
更新:25/10/12 09:53
クラフトビールコンテスト
空想と妄想が趣味です。
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蟲乃森みどり