雲の糸
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真っ暗な空から、糸のようなものが降りてきた。そっと触れてみると、粘り気があるが、たしかに糸だ。ためしに引っ張ってみる。すると抵抗することなく私の手に巻きついた。みるみるうちにひと塊りの毛糸玉が出来上がる。
「迷える人間よ、その糸で衣を作りなさい。それがあなたを救うことになるでしょう」
天から声が降ってきた。その声に従い、洋服を作り始めた。初めは縫うのに苦労した。それでも諦めはしなかった。するとだんだんコツを掴んでいき、洋裁店を開くまでになった。が、店をやり続けるのは困難を極める。私はしだいにイラつきだし、大事な糸を意味もなく切り刻んだ。
そんなある時、夢の中で声が聞こえた。あの声だった。
「あなたはあの糸を無駄にしましたね。もういいです」
翌朝、私は寒さで目を覚ました。空が見える。私の住居兼店はごっそりとなくなっていた。
私は、生き地獄へと、落ちていった。
「迷える人間よ、その糸で衣を作りなさい。それがあなたを救うことになるでしょう」
天から声が降ってきた。その声に従い、洋服を作り始めた。初めは縫うのに苦労した。それでも諦めはしなかった。するとだんだんコツを掴んでいき、洋裁店を開くまでになった。が、店をやり続けるのは困難を極める。私はしだいにイラつきだし、大事な糸を意味もなく切り刻んだ。
そんなある時、夢の中で声が聞こえた。あの声だった。
「あなたはあの糸を無駄にしましたね。もういいです」
翌朝、私は寒さで目を覚ました。空が見える。私の住居兼店はごっそりとなくなっていた。
私は、生き地獄へと、落ちていった。
公開:25/09/19 11:22
蜘蛛の糸
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