地の底より
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研究室の扉を開けようとして、博士は手を止める。中から人のすすり泣く声がする。鍵は閉めていた。いったい、誰がどうやって侵入したのか。
意を決して扉を開ける。そこに男がいた。どこか見覚えのある格好。それはこのほど見つかった古い人骨のDNAから復元した弥生人のそれと同じ、しかしそちらは女だった。
「あなたは……」
はたして現代人の言葉が通じるかわからぬまま発したが、声は返ってきた。声は言った。ありがとう、と。
「ありがとう……?」
「ああ、ありがとう。この人は私の妻です。あなたが保護してくれていたのか。感謝する。これでやっと、同じ墓に入ることができる」
「妻……墓?」
疑問は尽きないが、質問の言葉は見つからなかった。カーテンが揺れ、窓ガラスが割られていると気付く。彼はそこから、妻を連れて出ていった。
ガラガラガラッ。
妙な音に走って見に行くと、地面に無数の人骨が散らばっていた。
意を決して扉を開ける。そこに男がいた。どこか見覚えのある格好。それはこのほど見つかった古い人骨のDNAから復元した弥生人のそれと同じ、しかしそちらは女だった。
「あなたは……」
はたして現代人の言葉が通じるかわからぬまま発したが、声は返ってきた。声は言った。ありがとう、と。
「ありがとう……?」
「ああ、ありがとう。この人は私の妻です。あなたが保護してくれていたのか。感謝する。これでやっと、同じ墓に入ることができる」
「妻……墓?」
疑問は尽きないが、質問の言葉は見つからなかった。カーテンが揺れ、窓ガラスが割られていると気付く。彼はそこから、妻を連れて出ていった。
ガラガラガラッ。
妙な音に走って見に行くと、地面に無数の人骨が散らばっていた。
公開:25/09/04 19:15
更新:25/09/04 19:56
更新:25/09/04 19:56
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