女王のシャンデリア
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小さな乙女が、心を閉ざす。閉じた心は氷に覆われ、いつしか部屋中、氷のお城。心を飛び出た鋭い氷が、乙女自身を覆ったのだ。
「お姉様、大丈夫っ?」
どこか遠くで、声がする。あれは愛しい、愛しかった、妹の声。それに姉は、冷たく応える。「来ないで!」
妹は、行かなかった。行かない代わりに、やさしく唄った。懐かしいうた、いつぞや姉が唄ったうた。
「覚えていたの?」
姉が呟く、その時だった。眼光鋭いその目から、ほろりと一粒、何かが落ちた。
涙、だった。氷の乙女の小さな涙は、小さな小さな、雪だった。次第に氷が溶けて行く。次第に心が、解けてく。
「お姉様」
溶けた氷の向こうでは、ぬくもりの乙女が立っていた。立って、その手を伸ばしていた。「踊りましょう」
降る雪たちは冷たいけれど、どうして積もると暖かい。
雪を纏ったシャンデリア。踊る乙女を、やさしく照らすーー。
「お姉様、大丈夫っ?」
どこか遠くで、声がする。あれは愛しい、愛しかった、妹の声。それに姉は、冷たく応える。「来ないで!」
妹は、行かなかった。行かない代わりに、やさしく唄った。懐かしいうた、いつぞや姉が唄ったうた。
「覚えていたの?」
姉が呟く、その時だった。眼光鋭いその目から、ほろりと一粒、何かが落ちた。
涙、だった。氷の乙女の小さな涙は、小さな小さな、雪だった。次第に氷が溶けて行く。次第に心が、解けてく。
「お姉様」
溶けた氷の向こうでは、ぬくもりの乙女が立っていた。立って、その手を伸ばしていた。「踊りましょう」
降る雪たちは冷たいけれど、どうして積もると暖かい。
雪を纏ったシャンデリア。踊る乙女を、やさしく照らすーー。
公開:25/12/02 19:03
更新:25/12/02 19:06
更新:25/12/02 19:06
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さがやま なつき