雨粒シャンデリア

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 雨が降ってきた。一気に濡れるレインコート。私はそれを知り合いの店に持って行く。
「今日もお願い」
「かしこまり」
 知り合いは静かに言うと、レインコートの雨粒をプチンプチンと丁寧に取っていき、雨粒色の銀線に等間隔に通していく。通しては結び、通しては結び、そうしてあっという間に仕上げてしまった。
「今日も素敵なシャンデリアね。腕上げたんじゃない?」
 茶化して言うと、知り合いは肩を揉み、首を鳴らしながら、「そんなことより」と言った。「そんなことより、大丈夫?あなたの家、ウチで作ったシャンデリアだらけでしょう?」
 その通り、うちはシャンデリアでいっぱいだ。おかげでいつもキラッキラ。電気を消しても、キラッキラ。我が家に夜など、訪れない。
「大丈夫よ」私は言う。「またひとつ、ダンスホールを増やせばいいの」
 それからまたひとつ、新しいダンスを覚えなきゃ!
公開:25/11/30 21:45

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