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薄暗い集会場に着くと、もう仲間は揃っていた。
顔に傷のある男が俺を睨み、あごで奥を示す。あてがわれた席に腰を下ろした。
ふと、手のひらを見る。
──汚れていた。
生きるために盗みをした。傷つけもしてきた。
ここは、社会の裏側で生き抜く者たちが、密かに集まる場所なのだ。
やがて話が始まった。
議題が一通り終わったのを見はからい、俺は仲間たちに「足を洗う」と告げた。
とたんに、甲高い声と鋭い視線が俺を滅多刺しにした。
もう決めたことだ。人に迷惑をかけるのが、辛いことだと知ったから。
仲間に背を向け、俺は近所の川へ向かった。
巨大な川を流れる水を見て、体が震える。
俺は覚悟を決めて水に入り──手足を丁寧に洗った。
綺麗になった体で、ある家へと向かった。足取りは軽い。
「あら、足を洗ってくれたのね。どうぞ、いらっしゃい」
俺はにゃあと鳴くと、老婆の膝の上に飛び乗ったのだった。
顔に傷のある男が俺を睨み、あごで奥を示す。あてがわれた席に腰を下ろした。
ふと、手のひらを見る。
──汚れていた。
生きるために盗みをした。傷つけもしてきた。
ここは、社会の裏側で生き抜く者たちが、密かに集まる場所なのだ。
やがて話が始まった。
議題が一通り終わったのを見はからい、俺は仲間たちに「足を洗う」と告げた。
とたんに、甲高い声と鋭い視線が俺を滅多刺しにした。
もう決めたことだ。人に迷惑をかけるのが、辛いことだと知ったから。
仲間に背を向け、俺は近所の川へ向かった。
巨大な川を流れる水を見て、体が震える。
俺は覚悟を決めて水に入り──手足を丁寧に洗った。
綺麗になった体で、ある家へと向かった。足取りは軽い。
「あら、足を洗ってくれたのね。どうぞ、いらっしゃい」
俺はにゃあと鳴くと、老婆の膝の上に飛び乗ったのだった。
ファンタジー
公開:25/11/28 11:45
南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。
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蒼記みなみ