因縁のランデブー

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 今夜は彼女と会える日。

 「こんばんは」
 「こんばんは。お久しぶりです」
 花とワインの香りが広がる。

 「いつになったら付き合ってくれるの?」
 「またそれですか?」
 彼女は笑うけど、私は続ける。

 「何百年片思いしてるとでも?応えて貰うまで諦めないから。あ、婆さんは元気?」
 「それは私の台詞です。ええ、元気ですよ」
 彼女に顔を近付ける。

 「そんな余裕ぶってんのも今のうちよ。今世の私はしぶといから」
 「それを言うなら、今世の私も一味違いますよ?」
 2人は見つめ合う。
 熱っぽく、静かに。
 月が見え、私の身体が逆立ち眼光鋭くなると、彼女の目も妖しく光る。

 「あなたを必ず私のものにする。そして最後には骨も残さず食ってやるわ『赤ずきん』」
 「私もあなたを絶対手に入れてみせる。そして最後には息の根を止めてあげますよ『狼さん』」

 2人の『物語』はまだ続く。
ファンタジー
公開:25/05/02 12:10

甘露

真面目にのほほんと書いていけたらと思っております。
下手の横好きですが、宜しくお願い致します。

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