鳴き砂時計
2
4
手作り雑貨の店で『鳴き砂時計』というものを見つけた。形はいたって普通、中の砂もおそらく色付けしていないただの砂。が、その素朴さがかえって目を引いた。
店主がそばにきて言う。
「良きものを手に取られました。そちらは『鳴き砂時計』と申しまして、指定の時間になると泣き声をあげ、涙を流す時計でございます」
「ほら、ここ」と指差されたところを見れば、なるほどたしかに、砂が濡れていた。
「説明だけでは、わからないわ。実演して見せてよ」
言うと店主は私に今後の予定を聞いてきた。お昼の時間、夕食準備の時間、息子のお迎えの時間などだ。
その息子のお迎え時間を設定し終えた直後、鳴き砂時計がけたたましく泣き出し、大量の涙を流した。店主がやわらかく微笑んで言った。
「息子さん、今日は早退けになるようです。お迎えに行ってあげてください、おかあさん」
店主がそばにきて言う。
「良きものを手に取られました。そちらは『鳴き砂時計』と申しまして、指定の時間になると泣き声をあげ、涙を流す時計でございます」
「ほら、ここ」と指差されたところを見れば、なるほどたしかに、砂が濡れていた。
「説明だけでは、わからないわ。実演して見せてよ」
言うと店主は私に今後の予定を聞いてきた。お昼の時間、夕食準備の時間、息子のお迎えの時間などだ。
その息子のお迎え時間を設定し終えた直後、鳴き砂時計がけたたましく泣き出し、大量の涙を流した。店主がやわらかく微笑んで言った。
「息子さん、今日は早退けになるようです。お迎えに行ってあげてください、おかあさん」
公開:25/05/01 11:22
ログインするとコメントを投稿できます