ビールペン

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作家仲間の飲み会で、先輩からペンを頂いた。

尊敬する先輩からの贈り物に感動し、さっそく使い始めてみた。
木製のボールペンで、サラサラとよく滑る。
その感触が気持ちよく、次々とアイデアが湧き出してきた。

翌朝、軽い頭痛で目が覚めると、先輩からメールが届いていた。
ペンの使いすぎに気をつけろ、とある。
気づかいに感謝する返事をして、机に向かった。

書かないといられなくなっていた。

数日後、先輩が訪ねてきた。
私の顔を見るなり、「やっぱりか」とつぶやいた。

この「ビールペン」は、書くほどに酔うのだそうだ。
最初はテンション高く書けるのだが、やがて自分に酔うようになっていく。
書いたものを見たら、人に見せられないような文章が並んでいた。

帰り際に、先輩からまたペンを渡された。
ずしりと重く、紙に引っかかってゆっくりとしか書けない。

先輩に尋ねたら「チェイサーペンだ」と教えてくれた。
ファンタジー
公開:25/04/25 08:51

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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