口がうまい男
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男はオリンピックにまで行った重量挙げの選手だったが、若くで腰を悪くし、引退を余儀なくされた。まだ30代、でももう30代、新たな働き口を考えねばならない。男も、周囲も、それを心配した。
が、ことはうまく運ぶもので、その先の人生、男の道はすこぶる明るかった。就職を果たしたと思ったら、ぐんぐん昇進までしていったのである。
「おまえ、どんな手を使った」
順調すぎる彼を羨む気持ちで、友人は聞いた。するとこう帰ってきた。
「あんまり大きな声では言えないし、おれにこんな特技もあるとも思ってなかったけどな、ほらおれ、重量挙げが得意だろ?」
男は前置きにそう言うと、一拍二拍おいてこう言った。
「どうやら人を持ち上げるのも得意みたいなんだ」
が、ことはうまく運ぶもので、その先の人生、男の道はすこぶる明るかった。就職を果たしたと思ったら、ぐんぐん昇進までしていったのである。
「おまえ、どんな手を使った」
順調すぎる彼を羨む気持ちで、友人は聞いた。するとこう帰ってきた。
「あんまり大きな声では言えないし、おれにこんな特技もあるとも思ってなかったけどな、ほらおれ、重量挙げが得意だろ?」
男は前置きにそう言うと、一拍二拍おいてこう言った。
「どうやら人を持ち上げるのも得意みたいなんだ」
公開:25/04/25 07:31
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