天気が悪い

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僕は雲の子。
今はまだ雨を降らせることもできないけど、
立派な雨雲になるのが夢だ。

空にぷかぷか浮かんで、地上に影を落としていく。
人間の声が聞こえてきた。
「天気が悪くなってきたね」

あれ? くもりって天気が「悪い」の?

そんなはずない。
耳をすまして、他の声を聴いてみた。
「雨が降ると、外出が面倒だなぁ」
「この間も大雨で大災害になったよね」
「曇ると気圧が下がって頭が痛いんだ」

あれ、曇りや雨って「悪い」んだ……。
僕はその場を離れて、風に乗って南へと向かった。
誰もいない砂漠に着いて、さっきの言葉を思い出す。
悲しくて涙が出た。

そしたら、地上では恵みの雨で作物が伸びると喜んでいた。

晴れがいいか雨がいいかは人による。
いいか悪いかも人による。
どっちも必要。
そうか、だから天気は変わるんだ。
ずっと雨でも、ずっと晴れでもないのだ。
ファンタジー
公開:25/03/06 09:31

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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