お月見のペットボトル
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「なんか、ダサい」
天に掲げたペットボトルを見上げながら、ボソリと呟く。
昔、誰かが言っていた。お月見の日の月光は、お月様の涙なんだ、って。それを掬い取ると、恋が叶うんだ、って。
そんなすてきな話だから、もっとマシな器を用意したかった。だけど、ペットボトルを使うこと、これもルールなんだって。だからせめて、お茶のラベルは剥がしたけれど。
「智也……」
それは、私の好きな人の名前。結局、叶わぬままに終わったけれど。
「でも、最後のチャンス……!」
そう念じた、その時だった。
ぽちゃん。
「え?」
音がした。雫が垂れる音が。
「なんで知ってんの?俺が好きな飲み物」
音が声に変わり、私は顔を上げる。
いつのまにか、そこに智也がいた。
天に掲げたペットボトルを見上げながら、ボソリと呟く。
昔、誰かが言っていた。お月見の日の月光は、お月様の涙なんだ、って。それを掬い取ると、恋が叶うんだ、って。
そんなすてきな話だから、もっとマシな器を用意したかった。だけど、ペットボトルを使うこと、これもルールなんだって。だからせめて、お茶のラベルは剥がしたけれど。
「智也……」
それは、私の好きな人の名前。結局、叶わぬままに終わったけれど。
「でも、最後のチャンス……!」
そう念じた、その時だった。
ぽちゃん。
「え?」
音がした。雫が垂れる音が。
「なんで知ってんの?俺が好きな飲み物」
音が声に変わり、私は顔を上げる。
いつのまにか、そこに智也がいた。
公開:25/03/01 19:25
#ショートショート研究室
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