声が枯れるペットボトル

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 彼女と付き合って十数年。三年目からプロポーズを試みているが、一向にOKをもらえないでいる。そろそろ歳を取ってきた。それは彼女も同じこと、とくに女性は結婚の適齢期を気にするものじゃないのか?
「デートはしてくれるじゃないか。なのになぜ…?」
「うん、いいから、これ飲んで」
 それはデート中、いつも渡される飲み物。一見普通のペットボトルのお茶だが、強引に飲まされるあたり、何か怪しい。だから僕は意を決して聞……けなかった。聞こうとしたら、彼女の薄目に睨まれた。今日もまた、素直に謎の飲み物を体内に流す。
 そんなことが、それからどれくらい続いただろう。彼女からとつぜん、プロポーズされた。彼女も逆プロポーズ派だったのだろうか?
 そう思ったが、違った。プロポーズ後、彼女はこう言った。
「いい具合に声枯れてきたね、このお茶のおかげで。いや、あたし、本当は渋い声の年上おじさまが好みでさぁ」
公開:25/03/03 16:52
#ショートショート研究室

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