藪医者
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「今朝から腰が痛くて…」
激痛を訴えるに医者はとんでもないことを言った。担当医が見つかるまでお待ちください、と。
「え、ですが、こんなに痛いんですよ!先生は診てくれないんですか?」
あまりの痛さと医者の落ち着いた顔に苛立ち、思わずきつく言ってしまう。が、医者は怯むことなく言った。
「あのですね、名医を見つけるのは、そう容易くはないのです。かぐや姫といっしょ。では、行ってきますね」
「行くって、どちらへ?」
「もちろん竹藪にですよ。待っていてください、極上の金の竹を割ってきますから」
ぱたん、と悲しく閉される扉。動揺する私にそれまで黙っていた看護師が言った。逃げましたね、と。
「逃げたけど、よかったですね。あの先生こそ仕事ができない、本当の藪医者ですよ」
後日、私は看護師が紹介してくれた医者に診てもらい、なんとか元気になった。
激痛を訴えるに医者はとんでもないことを言った。担当医が見つかるまでお待ちください、と。
「え、ですが、こんなに痛いんですよ!先生は診てくれないんですか?」
あまりの痛さと医者の落ち着いた顔に苛立ち、思わずきつく言ってしまう。が、医者は怯むことなく言った。
「あのですね、名医を見つけるのは、そう容易くはないのです。かぐや姫といっしょ。では、行ってきますね」
「行くって、どちらへ?」
「もちろん竹藪にですよ。待っていてください、極上の金の竹を割ってきますから」
ぱたん、と悲しく閉される扉。動揺する私にそれまで黙っていた看護師が言った。逃げましたね、と。
「逃げたけど、よかったですね。あの先生こそ仕事ができない、本当の藪医者ですよ」
後日、私は看護師が紹介してくれた医者に診てもらい、なんとか元気になった。
公開:25/02/12 11:44
更新:25/02/12 12:03
更新:25/02/12 12:03
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