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ライブ会場のスタッフ席から、会場を見回していた。
盛り上がりきれない者を探しているのだ。
見つけたら、目に力を込めて30秒見つめる。
チン!
気の抜けるような音がした。
観客は感情が爆発したかのように目を輝かせ、腕を振り始めた。
これが俺の仕事だ。
ある日、仕事中に倒れてしまった。
力の使いすぎだという。
力を込めて見つめても、発動しなくなってしまった。
この仕事も辞めどきだな、と転職したのが35歳の時だ。
そして今。
70歳になった俺は、バンドでギターを弾いている。
あの力は戻っていない。もう戻ることもないだろう。
だが──、
かつてライブで俺の力を受けた青年が、火をつけてくれた。
彼は俺を探し当て、感謝を伝えてくれた。
そして、一緒にステージに上がってくれと頼まれたのだ。
チン!と、懐かしい音が聞こえた気がした。
遠い昔に、誰かに渡した心の火が、巡り巡ってやってきたのだ。
盛り上がりきれない者を探しているのだ。
見つけたら、目に力を込めて30秒見つめる。
チン!
気の抜けるような音がした。
観客は感情が爆発したかのように目を輝かせ、腕を振り始めた。
これが俺の仕事だ。
ある日、仕事中に倒れてしまった。
力の使いすぎだという。
力を込めて見つめても、発動しなくなってしまった。
この仕事も辞めどきだな、と転職したのが35歳の時だ。
そして今。
70歳になった俺は、バンドでギターを弾いている。
あの力は戻っていない。もう戻ることもないだろう。
だが──、
かつてライブで俺の力を受けた青年が、火をつけてくれた。
彼は俺を探し当て、感謝を伝えてくれた。
そして、一緒にステージに上がってくれと頼まれたのだ。
チン!と、懐かしい音が聞こえた気がした。
遠い昔に、誰かに渡した心の火が、巡り巡ってやってきたのだ。
ファンタジー
公開:25/07/01 14:50
南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。
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