馬和尚
3
6
初めて、主人の親戚の法事に行った。外に漏れ聞こえてくる念仏を聞いて、(不思議な言葉だなぁ、実家とは違うわ)と思っていると、先に法事を終えた檀家さんたちとすれ違う。みなさん困ったように首を捻りながら帰っていった。そのなかのひとりを呼び止め、主人が聞く。
「みなさんどうされたんですか?」
「ああ、行ってごらん。行けばわかるから」
要領を得ぬまま先へ進むと、本堂の中が見えた。とたん、私は呟く。「馬だ、馬がいる……」主人も呟く。「ずいぶん下手な鳴き方だな。ヒヒ、ヒヒ言ってるよ」
いや、そこじゃないだろ。軽くツッコむと、親戚の人が手招きしていた。近寄ると、その人は言った。
「驚いたろう?いやあ、住職もモウロクしたね。自分が休みたいからって、代わりに馬に念仏を唱えさせるなんて。まさに馬の耳に念仏。馬にしたってこちらにしたって、何を言っているのか、何を聞かされているのか、わからないのにね」
「みなさんどうされたんですか?」
「ああ、行ってごらん。行けばわかるから」
要領を得ぬまま先へ進むと、本堂の中が見えた。とたん、私は呟く。「馬だ、馬がいる……」主人も呟く。「ずいぶん下手な鳴き方だな。ヒヒ、ヒヒ言ってるよ」
いや、そこじゃないだろ。軽くツッコむと、親戚の人が手招きしていた。近寄ると、その人は言った。
「驚いたろう?いやあ、住職もモウロクしたね。自分が休みたいからって、代わりに馬に念仏を唱えさせるなんて。まさに馬の耳に念仏。馬にしたってこちらにしたって、何を言っているのか、何を聞かされているのか、わからないのにね」
公開:25/06/28 17:26
馬の耳に念仏
ログインするとコメントを投稿できます