ヴァンパイアの啓発

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 真夜中2時過ぎ。
 人も街も少しずつ眠りについてくる。
 散歩をしていると、女の子が立っていた。

 「こんな時間にうろうろしてると危ないよ」

 女の子が微笑む。

 「吸血鬼に見つかっちゃうよ」

 一瞬思考が停止した。

 「最近ニュースになってるの、知らない?真夜中に吸血鬼が出るって」
 「…知らなかった。うちテレビ無いから」
 「あー…それはお気の毒に」
 「でも吸血鬼なんて、本当にいるの…?」

 恐る恐る聞いてみた。

 「いるよ。実際に被害が出てる」
 「…被害って…」

 声が震えるのを堪えて聞く。

 「『僕、吸血鬼なんですが、血を少し頂けませんか?』って聞かれたって」
 「…へ?」
 「ね?可笑しいよね?でもまぁ、そんな不審者がいるから気をつけなよ」

 女の子が去って行く。
 しばらく見送り溜め息をつく。

 「はぁ…今度からは血を吸う前に聞くのやめよう…」
ファンタジー
公開:25/06/15 19:29
更新:25/06/15 19:32

甘露

真面目にのほほんと書いていけたらと思っております。
下手の横好きですが、宜しくお願い致します。

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