押し入れの秘密

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「おれが家を出たら、おまえが押し入れで寝ていいからな」
 そう言ってまもなく、にいちゃんはいなくなった。以来、僕は押入れどころか広くなった自分の部屋で寝起きすることができなくなった。だって、にいちゃんがいなくなったのは、押し入れの中に入ってからだったから。
 出てきていないんだ、にいちゃん。押し入れから。だけど、押し入れを開けても、にいちゃんはいない。
 人攫いだ、って、母ちゃんは言ってる。神隠しだ、って、父ちゃんは言ってる。神隠しなんて子供騙しだって、母ちゃんは父ちゃんを叱ってる。
 それから数年が過ぎ、ちょっと大人になった僕はひさしぶりに部屋に入ってみた。入ってみて、驚く。押し入れの襖、右端の所ににいちゃんがいた。鍬を持って、昔の人みたいな格好をしてる。情けない顔で。
 ずっとそこにいたんだろうか。これを教えたら、母さん、喜んでくれるかな。「あんたまでそんな」ってやっぱり怒るかな。
公開:25/06/05 17:51

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

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