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 夜、おふとんに潜ると、声が聞こえてくる。お母さんの声じゃない。お父さんでも、弟の声でもない。誰だかわからないけれど、とってもやさしい声がボクを眠りに誘うんだ。
 空にはお月さま。おだんご頭のおばさんが、椅子に座って、本を読んでる。
 おばあさんは、いろんな本を読んでくれる。そうして最後は、きまってこう言う。
「やさしい子におなりなさい。友だちをたくさん作りなさい」
 その約束事に頷けないまま、ボクはいつも眠りに落ちていくーー。

 
 月の下で、年若い女性が手を組んでいます。女性は月を見上げて、こう呟いています。
「おばあさん、ねえ、おばあさん?あなたの気持ち、それはとてもありがたいことです。だけど、知っていますか?あの子はすでにひとりぼっちだということを」


 あの子だけなのですよ?オオカミ少年になれていないのは。
公開:25/06/02 17:45

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