命懸けでたたかうみたらし団子

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 きっかけは、みたらし三兄弟の喧嘩だった。夜中、薄闇の中ですさまじいバトルを繰り広げたらしい三兄弟。朝見てみると見る影もなくべちゃっと形を崩していた。
「どうしてこんなことに」
 肩を落として呟いた時、声が聞こえた。
「だって、ボクもたまには上に行きたいんだもん!」
 いちばん下の団子の声だった。どうやら団子の位置の取り合いをしていたらしい。
「そうかい、そうだね。末っ子は大変だ」
 それなら、と末っ子団子がどの子か間違えないように並べ直していると、また別の声がした。今度は真ん中、次男団子が不平を漏らしている。いわく、上と下に押しつぶされて窮屈だと。それが決定打だった。困った私はキレてしまった。キレた勢いで団子をおもいっきり潰してしまったのだ。
 それからだよ、私が五平餅屋になったのは。結局私が泣かせたり怒らせたりしてしまった団子らに、客の「おいしい!」の声で機嫌を直してほしくてね。
公開:25/05/22 19:31
研究室ライブで出てきた言葉から 命懸けでたたかうみたらし団子

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