折りたたみ家
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大家族だった我が家。その我が家も末の弟が出て行き、とうとう空き家となると聞いた。我が家の最後を見届けようと急いで帰ると、人待ち顔の弟がいた。
「あんちゃん、来てくれると思ったよ」
寂しそうに言う弟。こいつも家との別れは惜しいようだ。
寂しさを持て余していると、ふいに弟が立ち上がった。なぜか表情も晴れている。弟は言う。「マジックを見せてあげるよ!」と。
「おまえ、こんな時になに言って…?」
言ったそばから弟は家を折り畳み始めた。
「家の外壁に蝶番があったんだ」
家を眺めている時、見つけたらしい。
弾む弟の声。そこに合いの手のような「パタン、パタン」という小気味好い音。そしてーー
「ねえ、あんちゃん!」
画板ほどのサイズになった家を小脇に抱え、弟が言った。
「別の場所で、でもこの家で、また一緒に暮らそうよ!義姉さんたちも呼んでさ!」
弟の笑顔は、無邪気で眩しかった。
「あんちゃん、来てくれると思ったよ」
寂しそうに言う弟。こいつも家との別れは惜しいようだ。
寂しさを持て余していると、ふいに弟が立ち上がった。なぜか表情も晴れている。弟は言う。「マジックを見せてあげるよ!」と。
「おまえ、こんな時になに言って…?」
言ったそばから弟は家を折り畳み始めた。
「家の外壁に蝶番があったんだ」
家を眺めている時、見つけたらしい。
弾む弟の声。そこに合いの手のような「パタン、パタン」という小気味好い音。そしてーー
「ねえ、あんちゃん!」
画板ほどのサイズになった家を小脇に抱え、弟が言った。
「別の場所で、でもこの家で、また一緒に暮らそうよ!義姉さんたちも呼んでさ!」
弟の笑顔は、無邪気で眩しかった。
公開:25/05/13 10:55
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