虚ソース

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私は食べることが生きがいだ。
研究室にこもり、休憩に外食に出かける毎日だった。

運動不足だが、五十年間標準体重を維持している。
秘密は、私が発明した「虚ソース」だ。

無色透明で無味無臭、食事にかけるとカロリーが消えるのだ。
栄養摂取が必要な時は、ソース無しで食べればいい。

だが──お腹が出っぱってきた。
体重計に乗ったら倍増していた!

ソースの成分を調べて驚いた。
連日の猛暑のせいだろうか、変質していたのだ。
かけた食品のカロリーが倍となるようになっていた!

心配は要らない。
身体についた脂肪も、虚ソースを使えばゼロにできる。
寝食を惜しんで作業をし、新たにソースを合成した。
消す脂肪に対して必要な分量をコップに入れ、一気に飲み干した。

身体が軽くなり、ふわりと宙に浮いていた。
寝不足で計算を間違えたか。そんなはずは──

コップが床に転がる。
そして、静寂だけが残った。
ファンタジー
公開:24/10/19 13:10

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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