B級グルメのバケツ

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 なんでもバケツサイズにするのが流行っているらしい。料理人仲間からそう聞いた菓子職人は旅先で「これは……!」と思うものを見つけた。それは、食べられるバケツだった。珍しい食材を見つけたいがためにジャングルの奥地にまで入ってしまい、疲れていたのだ。それで思わず見つけたそれを食べてしまったら、なんとも美味だったのである。バケツの持ち手はまるでチュロスのように甘いし、バケツ自体はちょっと固いが、八つ橋のようでこれまたいける。
「いける、これはいけるぞ!今度の菓子品評会で発表しよう!」
 職人は、勇んで帰国の途についた。そしていよいよ菓子品評会の日。
 結果は散々だった。サイズはいいけど色味が映えないと酷評され、そのうえ現代においては老いも若きも「こんな固いもん食えるか!」という時代になってしまっていたのだ。
公開:24/08/12 17:17

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