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「わしの身体は、泡の棺に入れておくれ」
 それが祖父の最後の言葉だった。私たち含め葬儀に集まった面々は、言われた通り祖父に向かってシャボン玉を吹いた。それぞれのシャボン玉はやがて大きなひとつのシャボン玉になり、大きな祖父を包み込む。包み込まれた祖父はふわふわと天に昇って行った。まるで「フランダースの犬」みたいだった。
 祖父を送り、日は経っていき、悲しみがすっかり薄れた頃、祖父が目の前に現れた。ボディソープの口から現れたのだ。
「よっ。ちったあ胸大きくなったか?」
 スケベじじいめ。悪態をつく私は、泣きながら笑っていた。
公開:24/08/14 17:46
更新:24/08/14 18:30

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