クーラーボックスに入れる冬休み
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あるとき、ぼくは便利なものを手に入れた。長引かせたいものを入れられるクーラーボックスだ。冬が好きなぼくは、『冬休み』をクーラーボックスに入れた。おかげで冬の遊びがたくさんできたし、おでんやおせちも、いっぱい食べた。ありがたいことに、冬休みの宿題は増えなかった。
ぼくは、時間を忘れて、遊びまくった。ところがだ。
「どうしよう、母さん!受験、もう終わってる!」
お兄ちゃんがうろたえていた。お母さんも、お父さんも混乱している。
「冬休みが長いのって、ぼくだけじゃないの?」
世間を見れば、みんなちゃんと学校や会社に行っている。冬休みを満喫しているのは、いや、時間が止まっているのはうちだけ。
「そうか、そういうことか……」
ぼくがクーラーボックスを持っていることでぼくがいる「重野家」の時間が、凍りついてしまったんだ。
ぼくは、時間を忘れて、遊びまくった。ところがだ。
「どうしよう、母さん!受験、もう終わってる!」
お兄ちゃんがうろたえていた。お母さんも、お父さんも混乱している。
「冬休みが長いのって、ぼくだけじゃないの?」
世間を見れば、みんなちゃんと学校や会社に行っている。冬休みを満喫しているのは、いや、時間が止まっているのはうちだけ。
「そうか、そういうことか……」
ぼくがクーラーボックスを持っていることでぼくがいる「重野家」の時間が、凍りついてしまったんだ。
公開:24/08/14 09:59
更新:24/08/14 10:04
更新:24/08/14 10:04
#田丸雅智の
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不思議な言葉
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