言玉ーことだまー

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 少年野球のチームに所属した。女のくせに、とか、おとこおんな、とか言われてムッときたこともあったけど、そう文句も言えない理由があった。私が野球を始めたのは、野球が好きとか、野球部に好きな子がいるとか、そんな理由じゃない。ほんとの理由は、女の子らしくなるためだ。
 というのも私は元が無口な方で、質問なんかされるとパニックになる。パニックになると今度はカッとなって意味不明に喚き散らすという、もう、感情の悪循環を極めてしまうのだ。そんな私に父が言ったのが、「言葉はキャッチボールだ」ということだった。投げて、受けて、投げて、受けて、これを繰り返すうちに会話も上手くなるのだそう。「投げかけた問いには、答えが欲しいものだろう」って。
 おかげで私も少しは穏やかな性格になってきたと思う。ただ、困ったこともあって。
 性格が柔らかくなるにつれて、力加減も柔らかくなって、戦力外通告を受け出してしまったのだ。
公開:24/08/08 05:03
更新:24/08/08 07:32

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