枕のうた

　お菓子を持って部屋に戻ると、友達が口をパクパクしていた。
「おまえの枕、あれなに⁉︎」という。僕は「ああ、」と頷き、自分の枕の秘密を話した。
「これは枕CDと言ってね、子守唄を聞かせてくれる枕なんだ」
「子守唄を？え、でも、たしかに普通のCDみたいに、何曲か流れたぞ？子守唄って、そんなに聞かせるもんか？」
　不思議そうにする友達。よく何曲も寝ないで聞けたことに、こっちが感心してしまう。僕なんて、一曲聴き終えられたかどうか。
「で？何曲目が好きだった？」
「３曲目！あれ、おまえのばあちゃんの声だろ。おれ好きなんだぁ、あの人の声」
　へえ、ばあちゃんの声は３番目か。今度頑張って聞いてみよう。
　謎の決意をする僕に友達が言った。だけど、どうして同じ曲ばかりなんだ、と。
「ああ、当然だよ、カバーソング集だもの、これ」