出なかった続編

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昨年応募した出版社から、手紙が届いた。
震える手で封を切る。

──受賞していた。
天にも昇る心地だった。

数日後、分厚い封筒が届いた。
修正の依頼だった。
今どき紙も珍しいなと思いつつ、作業に入る。

それから数回の手紙を経て、無事に発売日を迎えた。
編集部に行きたいと伝えたが、やんわり断られた。

高鳴る胸を押さえ、本屋に向かう。
地元の本屋では見つけられず、隣町へ。
そこもなくて、都会の大型店舗へ行ったが見つけられなかった。

翌日、古書店で見つけた。
出版社をネットで検索したら、すで倒産していた。

思い出した!
小学生の時に書店で見つけ、何度も大事に読んだ本だ。
登場人物も、世界も、なにもかもが大好きで。
いつの間にか、手元から消えてしまったけれど。

笑いがこみ上げてきた。
続編を待っていたが、続きはまだ出ていない。
そう、大人になった僕がこれから、書くからだ──。
ファンタジー
公開:25/01/19 14:15

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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